美容クリニックの経営状況を正確に把握することは、安定したクリニック運営と成長のために不可欠です。今回は、単独経営する美容クリニックを例に、その確認方法を具体的に解説していきます。
そもそも、なぜ経営状況を
確認する必要がありますか?

美容クリニックの経営状況を確認することは、健康診断のようなものです。クリニックが健全に運営されているか、どこに改善の余地があるのかを客観的に把握できます。これにより、問題が小さいうちに対処したり、将来の成長戦略を立てたりすることが可能になります。例えば、コスト削減のポイントや、売上をさらに伸ばすための施策が見えてくることも少なくありません。
クリニックの収支状況を
どう把握しますか?

クリニックの収支状況を把握するには、まず月ごとの売上高と費用を詳細に分析することが重要です。売上高は、施術の種類ごとの単価と件数を積み上げて算出します。例えば、ヒアルロン酸注入が月〇件で〇円、レーザー脱毛が月〇件で〇円といった具合に、具体的な数字を把握していくことが大切です。
一方、費用は固定費と変動費に分けて考えると、より明確になります。
固定費(売上の増減にかかわらず、毎月ほぼ一定で発生する費用です。)
- 賃料: クリニックの立地によりますが、都心では高額になる傾向があります。
- 人件費: 医師、看護師、受付スタッフなどの給与や社会保険料などです。
- 減価償却費: 医療機器や内装工事にかかった費用を、年数で分割して計上します。
- 広告宣伝費(月額固定契約分): Web広告やSNS運用などの固定費用です。
- リース料: 導入している高額医療機器のリース費用です。
- 保険料: 賠償責任保険などです。
変動費(売上や施術件数に比例して増減する費用です。)
- 材料費: ヒアルロン酸、ボトックス、薬剤、点滴、消耗品などの施術に必要な材料費です。
- 消耗品費: 患者が使用するタオル、使い捨てシートなどの消耗品です。
- 外注費(施術数比例分): 一部の業務を外部に委託している場合の費用です。
- 広告宣伝費(成果報酬型): 集客に応じた費用です。
これらの項目を細かく分類し、毎月の数値を追うことで、収益構造が明確になります。
予約稼働率も経営状況に
影響しますか?

予約稼働率は美容クリニックの経営状況を測る上で非常に重要な指標です。これは、クリニックの予約枠に対して、実際にどれくらいの割合で予約が埋まっているかを示す数値です。
例えば、1日に提供できる施術枠が合計20枠あるとして、実際に15枠が埋まっていれば、稼働率は75%となります。稼働率が低い場合、それは潜在的な売上機会を失っていることを意味します。予約稼働率を高めるためには、集客の強化はもちろん、予約システムの最適化や、キャンセル率を減らすための工夫も必要になってきます。
収支状況や稼働率から
何が分かりますか?

収支状況や予約稼働率を定期的に確認することで、様々な経営課題が見えてきます。
- 利益率の把握
売上から費用を差し引いた利益がどれくらい出ているかを確認できます。利益率が低い場合は、費用の見直しや単価の引き上げなどを検討できます。 - コスト構造の把握
固定費と変動費のバランスを見ることで、どの費用が経営を圧迫しているのかが分かります。例えば、広告費が高いのに予約稼働率が低い場合は、広告の効果検証が必要になるでしょう。 - 経営の効率性
予約稼働率が高いのに利益が低い場合は、施術単価が適切か、材料費がかかりすぎていないかなどを再検討するきっかけになります。 - 将来の予測
過去のデータを分析することで、今後の売上や費用の傾向を予測し、経営計画を立てる際の根拠とすることができます。
これらの情報を総合的に判断することで、クリニックの強みや弱みを明確にし、具体的な改善策を立てられるようになります。
まとめ
1院のみを経営する美容クリニックであっても、その経営状況を正確に把握することは、安定的な成長と利益確保のために不可欠です。収支状況(固定費・変動費)と予約稼働率という二つの重要な指標を定期的に確認・分析することで、クリニックの経営現状を「見える化」できます。
これにより、コスト削減や売上向上、効率的な運営のための具体的な戦略を立てることが可能になります。数字と向き合い、適切な改善策を実行していくことが、美容クリニックを成功に導く鍵となります。
よくあるご質問
- Q美容クリニックの適正な利益率とはどのくらいですか?
- A
美容クリニックの利益率は、立地や提供する施術、経営形態によって大きく異なりますが、一般的には売上高の15%~30%程度が目安とされることが多いです。ただし、これはあくまで目安であり、事業計画や投資状況によって変動します。
- Q固定費を削減する具体的な方法はありますか?
- A
賃料は難しいですが、人件費は業務効率化や多能工化で最適化できる可能性があります。また、リース契約の見直しや、不要な固定費がないか定期的に確認することも重要です。
- Q予約稼働率を上げるために最も効果的な方法は何ですか?
- A
集客強化はもちろんですが、既存患者様のリピート率向上や、予約システムのスムーズ化、キャンセルポリシーの見直しなども効果的です。SNSでの情報発信や口コミの活用も有効な手段です。
- Q変動費の中で特に注意すべき項目はありますか?
- A
材料費は施術単価と密接に関わるため、無駄がないか、仕入れ価格が適正かなどを常にチェックすることが重要です。また、キャンペーンなどで安価な施術を提供しすぎると、変動費が高くつき、利益を圧迫する可能性もあります。
- Q経営状況の確認はどのくらいの頻度で行うべきですか?
- A
月に一度、月次決算書を作成し、収支状況や稼働率を確認することをおすすめします。これにより、問題の早期発見や、迅速な対策が可能になります。

