美容クリニックの経営を成功に導くためには、日々の売上や予約数といった断片的な情報だけでなく、それらを複合的に分析し、経営状況を俯瞰的に捉えることが重要です。Google Workspaceをすでに導入しているクリニック様にとって、次のステップとして検討すべきなのが、Looker Studioの活用です。
Looker Studioは、Google Workspaceの各ツール(特にGoogle スプレッドシート)と連携し、複雑な経営指標を自動で集計・可視化する無料のBI(ビジネスインテリジェンス)ツールです。これにより、データに基づいた迅速な意思決定が可能となり、売上向上と利益最大化に向けた明確な指標を得ることができます。
なぜLooker Studioの導入が
効果的なのか?

Looker Studioを導入することで、以下のような効果が期待できます。
- 経営の「見える化」
売上、予約数、キャンセル率、患者単価、再診率、施術別の売上ランキングなど、多岐にわたる経営指標を一つのダッシュボードでリアルタイムに確認できます 。 - データに基づく意思決定
どの広告媒体が最も予約に貢献しているか、どの施術が人気で利益率が高いかなど、客観的なデータに基づいてマーケティング戦略やメニュー構成を見直すことができます 。 - 工数削減と生産性向上
手動でのデータ集計やレポート作成にかかっていた時間を大幅に削減できます。これにより、スタッフはより本質的な業務に集中できるようになります 。 - 専門知識不要
専門的な知識がなくても、視覚的に分かりやすいグラフや表でデータが表示されるため、誰でも簡単に分析結果を理解できます 。
【導入事例】Google スプレッドシートを
連携した経営ダッシュボードの構築

実際に、Google Workspaceを導入しているクリニックがLooker Studioをどのように活用しているか、その事例を基に解説いたします。
課題点
- 問い合わせ経路(Web広告、SNSなど)ごとの効果が不透明。
- 施術転換率や患者単価など、複数の経営指標を手作業で集計しているため、時間と手間がかかる上に、リアルタイムな経営判断が難しい 。
- 毎月の広告費の費用対効果(ROI)を正確に把握できていない。
Google Workspaceでの対応
- データの集約
Google フォームで作成したオンライン問診票の回答や、Web広告、SNSからの問い合わせを、自動的にGoogle スプレッドシートに集約する仕組みを構築しました 。 - 経営指標の設定
スプレッドシートには、「来院媒体入力項目」や「施術転換記録」などの経営指標を定義し、データを管理します 。 - データ連携
Looker Studioにアクセスし、Google スプレッドシートをデータソースとして連携させます 。Google Analytics、Google広告、Google Search Consoleといった外部ツールとも連携可能です 。
Looker Studioでの実現
- ダッシュボードの構築
Looker Studioのレポート作成画面で、集約したデータからグラフや表を作成し、ダッシュボードを構築します 。 - 可視化された経営指標
- サマリー
任意の期間を指定して、売上、診療数、予約数、キャンセル数、キャンセル率を一つの画面で確認できます 。 - 施術別分析
施術ごとの対応数と売上を確認し、収益構造を可視化します。これにより、どの施術がトレンドになっているかをデータに基づいて把握できます 。 - 流入経路分析
Webサイトや広告、SNSなどの流入経路ごとの売上を分析し、どの経路が売上に最も貢献しているかを評価します 。 - 再診割合分析
男女それぞれの再診率を確認し、再診率アップのためのフォロー体制改善の判断材料とします 。
- サマリー
このように、Google WorkspaceのデータをLooker Studioで可視化することで、クリニックはより精度の高い経営判断を行えるようになります 。
Looker Studioを導入して経営指標を
可視化するための手順

Google Workspaceを既に導入しているクリニックがLooker Studioを活用するための具体的な手順は以下の通りです。
1.【準備段階】データの棚卸しと目標設定
- Googleアカウントの準備
Looker StudioはGoogleアカウントがあれば利用できます。クリニック専用のアカウントを作成することをお勧めします 。 - データの棚卸し
現在どのようなデータをどこで管理しているかを整理します。Google スプレッドシートに、売上や患者数、施術内容などのデータを入力しておきましょう 。 - 目標の明確化
ダッシュボードで何を達成したいのかを明確にします。例えば、「毎月のWeb広告の費用対効果を可視化する」「施術メニューごとの利益率を把握する」といった具体的な目的を設定しましょう 。
2.Looker Studioでの連携と可視化
- Looker Studioにアクセス
Looker Studioの公式サイトにアクセスし、Googleアカウントでログインします 。 - 新規レポートを作成
ホーム画面の左上にある「作成」ボタンから「レポート」を選択します 。 - データソースを接続
連携可能なコネクタの一覧から「Google スプレッドシート」を選択します 。連携したいスプレッドシートとシートを指定し、「レポートに追加」をクリックします 。 - ダッシュボードを構築
レポート画面で、右側のメニューからグラフや表を選び、可視化したい項目をドラッグ&ドロップで配置します。例えば、棒グラフで媒体別の売上、円グラフで施術ごとの利益率などを表示させます 。 - 他のデータソースとの連携
Google Analytics、Google広告など、他のサービスもデータソースとして追加し、より多角的な分析ができるようにしましょう 。
まとめ
Google Workspaceを既に導入されているクリニックにとって、Looker Studioは、手間をかけずに経営数値を「見える化」するための強力なツールです。Web広告の効果測定から、施術ごとの収益性、再診率の分析まで、感覚ではなくデータに基づいた経営判断を可能にします。Looker Studioの導入は、クリニックの経営を次のレベルへと引き上げ、利益最大化への重要なステップとなるでしょう。
よくあるご質問
- QLooker Studioは無料で使えますか?
- A
はい、Looker StudioはGoogleアカウントがあれば、無料で利用できるツールです。ただし、Google以外の外部サービス(例えばMeta広告)のデータを連携させる場合は、有料のサードパーティコネクタが必要になることがあります 。
- QどのようなデータをLooker Studioに連携させれば良いですか?
- A
経営指標を可視化するためには、売上、診療数、予約数、患者単価、来院数、リピート率といったクリニック内部のデータが重要です 。これらのデータは、Google スプレッドシートに集約して連携させるのが最も手軽な方法です 。
- Qダッシュボード作成に専門的な知識は必要ですか?
- A
Looker Studioは専門知識がなくても直感的に操作できるように設計されています。テンプレートも用意されており、まずはそれを利用して作成してみるのが良いでしょう 。
- Qデータの更新は自動で行われますか?
- A
はい、Google スプレッドシートなどのデータソースを連携させておけば、データが更新されるとダッシュボードも自動で最新の情報に更新されます 。これにより、リアルタイムでの経営状況の把握が可能になります。
- Q個人情報が含まれるデータも連携して良いですか?
- A
Looker Studioで経営指標ダッシュボードを構築する際の最も重要な原則は、個人を特定できる医療情報を含めないことです 。セキュリティ設定や閲覧権限の設定に十分注意し、個人が特定されないようデータを匿名化して利用しましょう 。
動画での紹介
Looker Studioは、グラフ化を得意として、ドクター、スタッフのデータ閲覧時の期間指定も自由に個々で設定、表示がおこなえます。Google広告費用の見える化やAnalyticsのデータとの連動も行えるので、広告費用から売上の収支までの連動も可能となります。また、内製化での作成、変更も可能となります。
