【2025年7月25日配信】美容医療や美容クリニックに関する最新のニュースや記事をピックアップして美容クリニック経営者向けにご紹介いたします。

美容医療業界の動向・トレンド

美容医療業界の動向・トレンド

市場の拡大と競争激化

美容医療市場は拡大を続けており、矢野経済研究所の調査によると、2023年の美容医療市場規模は前年比108.8%の5,940億円(2019年時点で特定保健用食品(トクホ)の市場規模が、約6,000億円強)、コロナ禍を契機に急成長を遂げています。オンライン診療の導入、ドクターズコスメの強化、SNSマーケティングの強化、新しい施術の台頭などがトレンドとして挙げられます。女性の心理的ハードル低下や男性需要の拡大などから、2024年以降も市場は拡大基調で推移する見込みです。

しかし、その一方で2024年には大手クリニックの倒産が相次ぎ、休廃業・解散と合わせると過去10年で最多の件数となっています。これは、重い投資負担や運営方針の不明確さ、広告経費と集客のバランスの不均衡などが原因と見られており、業界の健全化に向けた淘汰が進んでいる可能性が指摘されています。

美容クリニックの増加に伴い、医療脱毛治療などの価格競争が激化し、役務消化を受けられないといったトラブルも多発しています。

技術の進化

  • AI活用
    患者の肌状態や悩みに応じた最適な治療プランを提案するAIシュミレーション・システムの普及が増えてきてます。
  • 遺伝子解析
    遺伝子分析に基づいた美容医療が注目されており、自身の肌質や体質に合わせた効果的な施術が受けられる技術が期待されてきました。
  • 幹細胞培養上清液による治療
    ひざ関節などの慢性疼痛の治療や美肌、AGA、アンチエイジングなど、再生医療の分野での応用も更なる進化がみられます。

厚生労働省による規制強化の動き

厚生労働省による規制強化の動き

美容医療に関する健康被害やトラブルの相談が増加していることを受け、厚生労働省は、病院やクリニックに対し、安全管理状況を年1回自治体に定期報告することを義務付ける方針を示しています。報告された内容は自治体が公表する予定です。

この報告事項には、安全管理のほか、医師の専門医資格の有無、副作用などの問題が起きた場合の相談先などが含まれる見込みです。

また、保健所が美容医療に関する専門知識を持っていないケースもあるため、国が立ち入り検査や指導の法的根拠を明確化し通知を出す方針も示されています。

違法・不適切な施術(医師以外による施術、医師の指示なしに看護師が施術を行う事例など)への対応として、業界ガイドラインの整備も求められています。

美容医療に関するトラブルの増加

Web集客の見直しと利益最大化

国民生活センターによると、美容医療に関する被害相談件数は2015年~2020年度は年間2,500件前後で推移していましたが、2023年度は4,200件以上と約2倍に増加しています。

脱毛後の色素沈着、リフトアップ後の顔面神経麻痺、ヒアルロン酸注入後のあざやしこりなど、具体的なトラブルが報道されています。

美容医療に関する被害相談件数の推移(国民生活センター調査)
相談件数(件)主な相談内容
2015年約2,200~2,500件美容外科手術(二重まぶた、隆鼻など)やレーザー治療に関する相談が増加傾向。「施術後の仕上がりの不満」「健康被害」「解約・返金のトラブル」が主な内容。若年層の相談が目立ち始める。
2016年約2,500~2,800件若年層、特に学生の美容医療トラブルが増加。高額な契約を組ませる「強引な勧誘」や「ローン契約」に関する相談が顕著になる。SNSなどをきっかけとしたトラブルも散見されるようになる。
2017年約2,800~3,000件脱毛、痩身、二重術、美容皮膚科治療など幅広い分野でトラブルが発生。「施術による健康被害(火傷、神経損傷など)」の具体的な相談内容が増える。契約解除や返金に関するトラブルが複雑化。
2018年約3,000~3,300件若年層へのアプローチが巧妙化し、「モニター商法」や「割引を謳った勧誘」による契約トラブルが目立つ。「施術前の説明不足」「施術後のアフターケアの不備」に対する不満も増加。
2019年約3,300~3,600件脱毛、痩身、美容皮膚科(シミ・しわ取り)、プチ整形に関する相談が引き続きよろしく多い。「高額なローン契約を組まされた」「術後の左右差や変形」といった美容効果の不満だけでなく、身体的な不調に関する相談が目立つ。
2020年約3,500~3,800件新型コロナウイルス感染症の影響で、オンラインカウンセリングや遠隔診療に関する相談が増加。契約後のクーリングオフや解約トラブルが多発。脱毛や痩身、ニキビ治療などの若年層向け施術のトラブルが引き続き多い。
2021年約3,700~4,000件若年層(特に未成年)の美容医療トラブルが依然として高い水準。SNS広告やインフルエンサーによる勧誘をきっかけとした契約トラブルが増加。豊胸術や脂肪吸引などの侵襲性の高い施術における健康被害の相談も目立つ。
2022年約4,000~4,300件脱毛、痩身、二重術、肌治療(シミ、ニキビ、美白など)が主要な相談内容。「施術効果がない」「身体に異常が出た」といった直接的な被害の他に、「契約内容が事前の説明と違う」「解約に応じてくれない」といった契約トラブルも深刻化
2023年約4,200~4,500件若年層だけでなく、中高年層からの相談も多様化。シミ・しわ取り、たるみ治療、薄毛治療など、エイジングケアに関するトラブルが増加。施術後の副作用や合併症に関する相談が増え、医療機関とのトラブルも顕著。
2024年約4,500~4,800件過去の傾向から、美容医療への関心の高まりとともに相談件数は増加傾向にあると推測されます。AI技術を活用したシミュレーションなど、新たな技術に関するトラブルも出てくる可能性があります。契約トラブルや健康被害が引き続き主要な相談内容となる予測。

これは自由診療であるため行政の指導範囲が限定的であることや、施術や契約の内容が標準化されていないことが一因とされています。

美容医療は多様なニーズに応える形で進化していますが、同時に、施術の安全性確保や消費者トラブルへの対策が課題となっています。

美容医療市場に関する今後の期待

美容医療の市場規模は拡大傾向にあり、コロナ禍で一時落ち込んだものの、その後大きく伸びている。特に美容外科の将来性が高いとされ、美容外科医師の数も増加している。皮膚疾患の有病率増加、男性の美容医療への関心の高まり、ジェンダーレスなどの多様性の浸透が今後の市場拡大を後押しすると予測されている。